昨年12月、大手不動産会社が企画業務型裁量制を不正に適用していたとして、労働局から是正勧告を受けていたことが明らかになりました。
裁量労働制とは、労働時間の管理を従業員の裁量にゆだね、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定の時間(みなし時間)だけ労働したものとみなす制度です。みなし時間をもとに給与を計算するため、長時間働かせても残業代を支払わなくていい制度と誤解され、不当に利用されるケースが後を絶ちません。
適用できるケースは限定的
裁量労働制には企画業務型と専門業務型の2種類があり、企画業務型は、本社などの中枢部門における企画、立案、調査及び分析の業務を行う労働者に適用できるものです。指針において適用対象となる業務の例/ならない例が具体的に示されており個別の営業活動などは、対象となりません。
しかし、冒頭の不動産会社では全社1,900人のうち、営業職など約600人について企画業務型裁量労働制を不正に適用していました。
専門業務型裁量労働制についても、適用できる業務が法律で細かく指定されていますが、拡大解釈して本来は適用できない業務に適用している例が多く見られます。
また、そもそも裁量的な働き方がゆるされていなければならないのに、遅刻控除を行うなど会社が労働時間の管理をしてしまっているケースもあります。
拡大解釈していませんか?
会社に都合よく解釈して裁量労働制を導入するのはトラブルの元となりまっす。違法な運用となっていた場合、裁判になったときに過去2年分さかのぼって実際の残業代を支払うことになります。 ※過去5年分へ延長を検討中
裁量労働制を導入している企業は、いま一度、違法な運用となっていないかどうか確認してみる必要があるでしょう。